遺言書作成に早すぎることはない
遺言書作成の相談のうち、ご本人以外の方から相談があるときに困ることがあります。
特に次の場合です。
1.遺言者本人が『自分はまだしばらく元気だから作成するには早い』と譲らない場合
2.遺言者本人が『認知症で財産処分の判断ができない』場合
3.遺言者本人が『自分の財産状況をわかっていない』場合
1の場合
ご本人が80才代の場合、のどに食べ物をつまらせる、血管剥離などにより、まわりはもとより本人も予想もせず突然死亡することがあります。
私のところに相談にいしゃっしゃる方のなかにも
『自分はまだ大丈夫だからゆっくり遺言書をつくればいい』とおっしゃていた方で、1年に3人ほどの方が突然お亡くなりになり、奥様や兄弟姉妹の方からどうしましょう、というご連絡をいただくことがあります。
2の場合
専門医による判断で、既に認知症で自己で財産処分の判断ができない状況です、と言われている場合は遺言書作成は難しいです。仮に、遺言書の形式を整えて作成しても、遺言書で不利益(財産分けが少ない、もしくは全くない)を受ける方から、『遺言書は無効だ』といわれ、家庭裁判所での長期間にわたる話し合いを行う必要性が生じてきます。
専門医が、認知症にあたるが、程度は軽く、遺言書作成(どの財産をだれにあげたいかの判断は十分できる)は大丈夫との判断である場合には遺言書作成の可能性があります。
3の場合
実は、このような方が以外といます。老後に困らないようにとコツコツ預金をしてきたが、預貯金を合計したことがない、という方は通帳や定期預金証券、保険証券などを必ず出してもらいます。
記憶が確かな、遺言書作成の段階で、まずは預貯金など金融商品を整理しておかないと、遺言書で全財産をAさんに相続させる、という場合でも、どの金融機関にどのくらいあるのかはあらかじめ知っておくにこしたことはありません。