無料で借りていた土地を兄弟が相続したら
花子さんはお父さんから土地建物を無償(家賃等負担なく)で借りて住んでいます。
お父さんは自分の死亡後は、すべての土地建物を長男に相続させると遺言書を用意してあります。
この場合、お父さんが死亡し、土地建物を長男が相続すると花子さんはどうなってしまうのでしょうか。
家賃を払ってお父さんから土地建物を借りていたら借地借家法により花子さんは保護されます。
ところが、無料で借りていた場合は【使用貸借】という分類で判断されることになります。
土地建物所有者には固定資産税の負担が伴います。親子の間では税金負担を子どもに求めないことがありますが、長男は少なくとも税金部分の負担を花子さんに求めることになるでしょう。
根本的な問題としては、
①使用貸借の期間も使用収益の目的も定めがない場合には【いつでも返還請求ができる】ということです。
②使用貸借の期間の定めはないが、使用収益の目的の定めがある場合には【契約に定めた目的に従って使用、収益が終了した時に返還しなければならない】ということです。
お父さんが元気な間に使用貸借契約ではなく、賃貸借契約を結んではどうでしょうか。
また、土地の所有権は長男が相続するとして、50年以上の間土地を借りることにより、その土地の上に花子さんが自分の家を建てることもできます(一般定期借地権)。
ご家族でもめる前に当事務所にご相談のうえ、適切な契約を結ばれることをお勧めします。