契約書 覚書 ひと手間で将来のトラブルが大きくかわる
2011年から民事調停員をさせていただいております。この間に感じたことがあります。
「お金をかした」と一方の方が主張すると、相手側は「私が借りたわけでなく、私はあずかっただけで、すぐに〇〇さんへ渡した。だから私がお金を返す義務はない。」と食い違ったりします。
「借用書がこのとおりあります」といって見せてもらうと、貸主の名前がなく、誰がお金を貸したか不明のこともあります。
「賃貸借契約書があります」とのことで内容をみると、お金を前払いすることになっているのに実際は後払いであったりもします。
「信頼していた」「貸す期間は短いので手間をかけることはない」など様々なことで契約書や覚書を作成していないと、「どれをもとにして話を進めればいいのか」という問題になります。
せっかく契約書などがあったとしても、事実と違ったり、必要な事柄が抜けているとかえって混乱します。
調停ではなく、私の事務所に相談がときどきあるのが、
「死んだ親にお金を貸していた」と相続人の一人が主張して、他の相続人より多く預貯金を受け取ろうとする場合です。本当にお金を貸していたかもしれませんが、親子の間では、お金を貸すという行為があることも事実ですが、お金を援助する(贈与する)ということもあります。本当にお金を返してもらいたい場合には、たとえ親子であっても借用書を作成した方がいいです。
書類作成に必要な情報はインターネットや書籍で入手できる場合が多くあります。何もないよりは作成した方がいいので、金額があまり大きくない場合やトラブルになっても大きな損害がない、と自分で思える場合は自分で作りましょう。
金額が大きい、返済が長期になる、万が一相続となったときに精算してほしい、土地や建物に関する賃貸借だ、このような場合にはご自身で作成された書類に不備などがあるとトラブル(金銭面だけでなく、精神的にも負担が生じる)による損失が大きくなります。このような場合は当事務所にご相談ください。相談内容に応じた注意点をピックアップし、それに対応した適切な書類を作成します。金額によっては公正証書という、約束が守られない場合に強制執行という方法をすみやかにとれる方法の作成をお手伝いしますのでご安心ください。